March 18, 2025

見本到着

リークエ会社法第6版の見本が届きました。

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3月28日発売予定です(有斐閣ウェブ・サイト)。

assam_uva at 13:21|Permalink││雑感その他 

February 22, 2025

株主名簿の免責的効力と総会決議の不存在

先日の京大商法研究会では、東京地判令和3・12・20金判1645号49頁が取り上げられた。

この裁判例は、Y会社(非公開会社)が株主総会決議(会社199条2項。本件決議)を経て総数引受方式(会社205条)による募集株式の発行(本件発行)を行ったのだが、本件決議ではY社株式のうち84%(本件株式)の真の権利者(X)に招集通知が行われなかった(Xから本件株式の贈与を受けたとして本件株式の名義書換えをして名簿上の株主になっていたB〔Xの子〕らが株主と扱われた)ことから、本件発行は非公開会社であるY社において株主総会の特別決議を経ないまま株主割当以外の方法によってされたものであり無効だとして、新株発行の無効の訴え(会社828条1項2号)が提起された事案だ。裁判所はXの請求を認容して、本件発行を無効とした。

この裁判例には大事な論点が含まれているのだが、判決文での説明が不十分すぎて、よく分からないところもある。

(1)本件発行の無効原因

たとえば、判決文からは、裁判所が、本件決議にどのような瑕疵があった(本件決議が法的にどのような状態にあった)と捉えているか(=本件発行の無効原因をどう捉えているか)が分かりづらく、研究会の報告では、本件決議に取消事由(招集手続・決議方法の法令違反)があったと捉えられている可能性、また、本件決議が不存在だと捉えられている可能性について、議論されていた。

もっとも、判決文は、次のように述べている。

「本件新株発行は,非公開会社である被告において株主総会決議の特別決議を経ないまま総数引受契約方式によってされたものであり(前提事実(1)ア,(3)イ,ウ)」

そして、ここでいう「前提事実(1)ア,(3)イ,ウ」というのは、Y社の本件発行以前の発行済株式総数が200株であること((1)ア)、本件決議の内容((3)イ)、そして、「Xは,本件決議がされた……当時,......168株を有する株主であったが,Y社が本件総会に係る手続において株主として扱ったのは......Bを含む6名であったため,本件総会の招集通知を受けておらず,本件総会に出席もしなかった」こと((3)ウ)を指す。

以上のような前提事実の指摘と「株主総会決議の特別決議を経ないまま」という日本語表現からすれば、おそらく裁判所は、本件決議が不存在だと捉えているのだろう。つまり、裁判所は、株主総会の特別決議が、文字通り「なかった」ということを、本件発行の無効原因だと捉えているのではないか、ということである。

(2)株主名簿の免責的効力と総会決議の不存在

この裁判例について私がむしろ気になったのは、裁判所が、株主名簿の免責的効力について論じている点だ。

上に書いたように、本件決議ではY社株のうち168株分について、真の権利者であるXではなく、名簿上の株主であったBらが議決権を行使している。このことから、Y社は、本件決議では名簿上の株主を株主として扱ったのだから「株主名簿の免責的効力によって免責されるから,本件総会に係る手続(招集通知等)に瑕疵はない」と主張した。

これに対して、裁判所は、「Y社は,上記のBを含む6名が無権利者であることについて少なくとも重過失があった」として、このようなY社の主張を斥けている。裁判所がこの場合の「重過失」の意味をどう捉えているのか(一般に学説がいうように手形法40条3項と同様の意味での重過失〔無権利の立証手段についての重過失〕と捉えているのか)ということも判決文からは今一つ分からないのだが、事実関係からすれば、Y社に少なくとも重過失があったとされたことに問題はないのだろう。

ただ、私がこれについて気になったのは、なぜここでそもそも株主名簿の免責的効力を問題にしなければならないのかということだ。

ここで株主名簿の免責的効力を問題にするということは、もしも会社に悪意・重過失がなかったならば、この事件でいうと発行済株式総数200株中168株分について無権利者が議決権を行使しているのに、そのような議決権行使が適法なものと扱われ、本件決議が有効なものと扱われるということを意味する。しかし、いくら会社に悪意・重過失がなかったとしても、結果的には発行済株式総数の84%もの議決権が無権利者によって行使されたような株主総会決議が、不存在とは評価されずにそのまま有効なものと扱われてしまう(それが株主総会による適法な意思決定だと扱われてしまう)のは、やはりおかしいように思うのだ。

このことを含めて、株主名簿の免責的効力なるものの根拠や帰結については、もう一度よく考え直した方がよいのではないかとも思う。株主名簿の免責的効力というのは、それ自体が会社法に規定されているものではなく、いくつかの個別ルール(株主への通知・催告についての126条1項、配当財産の交付についての457条1項)の背後にあるものとして、株券発行会社については131条(権利推定)を基礎に議論されるものだ。しかし、本当に「免責的効力」というものを観念する必要があるのか。また、会社が「免責」されるというのは、具体的にはどういうことか。名簿上の株主だが無権利者である者に議決権行使を認めた場合に、それが完全に適法なものと扱われるということまでが、「免責」の内容に含まれるべきか。

少なくとも、この裁判例のように議決権の大半が無権利者によって行使されたような事例では、たとえその無権利者が名簿上の株主であったとしても、株主名簿の免責的効力を問題にすべきではない(そのような事例は免責的効力の埒外だと考えるべき)ように思われる。

assam_uva at 14:45|Permalink││研究 

October 23, 2024

第三者による株主総会の攪乱の意味

東京地判令和3・11・25判タ1503号196頁をゼミで読んだ。同判決は、会社が、議決権行使の代理人資格をその会社の株主に限る定款規定にもとづいて、株主ではない弁護士による議決権の代理行使を拒んだことが、決議方法の法令違反(議決権の代理行使を保障する会社法310条1項の違反)にあたるとして、決議を取り消した。同判決は、次のように述べる。

「株式会社が定款をもって株主総会における議決権行使の代理人の資格を当該株式会社の株主に限る旨を定めた場合,その定款の定めは,株式会社の利益ひいては株主の共同の利益を保護する趣旨から,株主総会が株主以外の第三者により攪乱され株式会社の利益ひいては株主の共同の利益が害されるおそれがあるようなときに,その定款の定めを理由に株主が当該第三者に議決権の代理行使をさせることを拒否することができることとする趣旨のものと解すべきである。そして,弁護士は,当事者その他関係人の依頼等により,一般の法律事務を行うことを職務とするところ(弁護士法3条1項),相当高度の法律的素養を有するものであり(弁護士法2条,4条,5条参照),その職務を執行するに当たり,委任契約から生ずる善管注意義務(民法644条)等を負うだけでなく,基本的人権を擁護し,社会正義を実現するとの使命に基づき(弁護士法1条1項),当事者の利益を保護し,弁護士の信用,品位等を保持すること等が求められるものである(同法2条,3条,25条等参照)。このことに照らすと,株主が弁護士に議決権を代理行使させた場合,当該弁護士が当該株主の意図に反する行動をすることは,通常想定されないものというべきである。」

このような判示からは、同判決が、「株主総会が株主以外の第三者により攪乱される」ということの意味を、「株主総会において代理人が株主の意図に反して行動すること」である(少なくとも、「株主総会が株主以外の第三者により攪乱される」ということの主な意味は「株主総会において代理人が株主の意図に反して行動すること」である)と捉えていることが読み取れる。

このような捉え方は、この問題についての著名な判例である最判昭和51・12・24民集30巻11号1076頁の次の判示に表れており(下線は私が引きました)、前記の東京地判令和3・11・25の判示は、これを基礎にするものだろう。

「原審が適法に確定したところによれば、被上告会社の定款には、『「株主又はその法定代理人は、他の出席株主を代理人としてその議決権を行使することができる。』旨の規定があり、被上告会社の本件株主総会において、株主である新潟県、直江津市、日本通運株式会社がその職員又は従業員に議決権を代理行使させたが、これらの使用人は、地方公共団体又は会社という組織のなかの一員として上司の命令に服する義務を負い、議決権の代理行使に当たつて法人である右株主の代表者の意図に反するような行動をすることはできないようになつているというのである。このように、株式会社が定款をもつて株主総会における議決権行使の代理人の資格を当該会社の株主に限る旨定めた場合において、当該会社の株主である県、市、株式会社がその職員又は従業員を代理人として株主総会に出席させた上、議決権を行使させても、原審認定のような事実関係の下においては、右定款の規定に反しないと解するのが相当である。けだし、右のような定款の規定は、株主総会が株主以外の第三者によつて攪乱されることを防止し、会社の利益を保護する趣旨に出たものであり、株主である県、市、株式会社がその職員又は従業員を代理人として株主総会に出席させた上、議決権を行使させても、特段の事情のない限り、株主総会が攪乱され会社の利益が害されるおそれはなく、かえつて、右のような職員又は従業員による議決権の代理行使を認めないとすれば、株主としての意見を株主総会の決議の上に十分に反映することができず、事実上議決権行使の機会を奪うに等しく、不当な結果をもたらすからである。」

しかし、疑問に思うのは、「株主総会が株主以外の第三者により攪乱される」ということの意味を、「株主総会において代理人が株主の意図に反して行動すること」であると捉えるのは、株主総会の攪乱の意味の捉え方(何をもって株主総会の攪乱というか)として、本質からズレているのではないかということだ。

これについて、飯田秀総ほか『会社法判例の読み方』(有斐閣、2017年)147頁[松中学]は、ここでは「株主によるコントロールが効いているかどうか(株主であればしないような攪乱をするおそれがない)」が問題にされているのだと説明する。

たしかに、説明としては、そういう説明になるのだろう。ただ、「株主によるコントロール」や「株主であればしないような攪乱をするおそれ」を問題にすることに、どこまでの意味があるのかが、私にはよく分からないのだ。たとえば、株主が、もとから株主総会を攪乱するつもりで、しかし自分が出席するよりは、法律知識の豊富な弁護士に行ってもらう方が、効果的に株主総会を攪乱できると考えて、弁護士を議決権行使の代理人にするということも、ありえないではないだろう。この場合に、株主によるコントロールは効いているのだから第三者によって株主総会が攪乱されることはない(あるいは、株主本人が出て行っても同様の攪乱をしたはずだ)ということになるのだろうか。

assam_uva at 12:01|Permalink││研究 

September 24, 2024

監査法人の商人性・商法502条の解釈

土曜日の京大商法研究会で扱われた裁判例の1件目は、神戸大のY先生の御報告で、東京地判令和3・6・24金判1626号34頁(以下では「令和3年東京地判」という)だった。この裁判例では、(1)監査法人を退社した公認会計士への持分払戻額の計算方法と、(2)持分払戻請求権等に係る遅延損害金に適用される法定利率が民事か商事か(この事案では商事法定利率の規定が削除される前のルールが適用された)が問題になり、(2)の前提として、監査法人が商人かどうかが争点とされた(監査法人が商人であれば、出資を受ける行為は附属的商行為〔商法503条〕になるということが前提とされた)。

研究会で議論が盛り上がったのは、この監査法人が商人かどうかというところ。令和3年東京地判は、次のように述べる。

「監査法人は,他人の求めに応じて報酬を得て財務書類の監査又は証明をするとの業務を組織的に行うことを目的として,公認会計士法に基づいて設立された法人である(同法1条の3第3項,第2条1項)。監査法人が行う財務書類の監査に関する業務は,請負の性質を有すると解される監査報告書の提出を主要な目的の一つとしている。そうすると,監査法人の行う業務は営利を目的とするものであるというべきであるから,監査法人は商法上の商人に当たると解するのが相当である(商法502条5号,同法4条1項参照)。」

令和3年東京地判の判示のこの部分は、どのように法規定を適用しているのかが不明確な、ひどいものだと思う。ある主体が「商人」かどうかは、商法等の規定によって決まるのであり、商法では、自己の名をもって商行為をすることを業とする者(商法4条1項)か、店舗その他これに類似する設備によって物品を販売するすることを業とする者または鉱業を営む者(商法4条2項)でなければ商人とはされない。この判示のいうように「監査法人の行う業務は営利を目的とするものである」というだけで監査法人が「商人」だといえるわけではない(あるいは、このあたりの表現からすれば、Y先生が報告されていたような会社法5条の類推適用のようなものを考えているのかもしれないが、そういったことは判決文には表現されていない)。

また、この判示で「商法502条5号、同法4条1項参照」とされていることからすれば、裁判所は、監査法人が商法502条5号にいう「作業...の請負」を営業としてするのであり、したがって、自己の名をもって商行為をする者だといえると述べているのかもしれない。しかし、Y先生の御報告でも指摘されていたように、監査法人が監査報告を提出するのは、請負なのではなく、委任契約たる監査契約の履行行為としてやることだと捉えるのが素直であり、監査報告の提出業務だけを取り出してこれを「請負」だと捉えるのは、やはりおかしい。

ただ、このあたりの部分について、先行評釈が述べていることにも、おかしいなと思うところはある。先行評釈には、商法502条5号にいう「作業...の請負」というのは、伝統的な通説では不動産(+船舶)の工事の請負をいうのだとされており、監査報告の提出のようなものはそれには含まれておらず、その点から、監査法人の業務が商法502条5号に当たると解するのは難しいとするものがある。商法502条5号については、伝統的な通説と違って、もっと一般的になす債務に当たる行為を含めようとする見解も存在するが、この評釈は、そのように広く解したとしても、請負には当たらない現代的な営業の多くに商行為性を認めることはできないから、結局、解決策にはならないとする(清水真希子「判批」ジュリスト1570号(2022年)97頁)。

令和3年東京地判の事案では、このあたりをどう考えようが、上に述べたようにそもそも監査報告の提出を請負と捉えること自体に無理があるので、結局は同じなのだけれど、商法502条5号を柔軟に解釈すること自体は、否定されるべきではないだろう。商法502条5号だけでも(また、商法502条が列挙するその他の営業的商行為だけでも)、柔軟に解釈をすることでその事案について妥当な結論が得られるのなら、柔軟に解釈をすればよい。そのような解釈によって救えない部分が出てくるからといって、そのような解釈をとるべきではない理由にはならないはずだ。

そもそも、商法502条5号にいう「作業...の請負」が不動産(+船舶)の工事の請負をいうのだという伝統的な通説自体、根拠は薄いのではないかと思う。西原寛一や大隅健一郎の商行為法の体系書も確認してみたが、たしかにそのような解釈は記されているものの、詳細で説得的な根拠が記されているわけではない。西原寛一や大隅健一郎がその体系書を書いた時代には、「作業...の請負」といえば、そのようなものしか想像できなかったというだけの話で、そういった古い時代の、根拠も薄い解釈論を絶対視する必要はないだろう。

assam_uva at 13:42|Permalink││研究 

September 04, 2024

取締役権利義務者の法律関係

大阪高判令和4・3・24金判1668号39頁は、株式会社の解散の訴え(会社法833条1項)の事件であり、同項1号の解散事由がないとして請求を認めなかった原審判決(京都地判令和3・7・8金判1668号47頁<参考収録>)を維持した。この事件では、Y社の株式の半数ずつを有する株主の間で意見が対立して株主総会で役員の選任ができない(遅くとも平成24年9月以降は株主総会が開催されておらず、同年8月28日に選任された役員の任期の満了に伴う新たな役員は選任されていない)というデッドロックの状態になっており、対立する株主の片方(B:原告)がY社の解散を請求した。しかし、裁判所の認定によれば、そのY社の取締役権利義務者(会社法346条1項)は、原告に加えて、Bと対立する株主であるA、さらに、もう一人の合計3人で、その3人によって取締役会は開催されており、Aが代表取締役に選定されていて、Aによって業務の執行は行われていた。このことから、大阪高裁も京都地裁も、会社法833条1項1号の解散事由は認められないとして、解散を認めなかった。

これらの判決のように取締役権利義務者がおり通常の業務の執行は行われているということを会社法833条1項1号の解散事由を認めない根拠とすることには、大いに疑問があるのだけれど、ここでは、もう少し細かい問題について書こうと思う。

上に述べた大阪高判の事案では、ある時点から取締役の選任が全く行われていないので、直前に取締役であった者の全員が取締役権利義務者だということになる。裁判所の認定では、平成24年当時のY社の取締役はA・Bのほか、Aの妻であるCと、Dの4人だったが、遅くとも平成29年5月までにDが退任したとされる。

まず、このように取締役権利義務者に「退任」というものがあるのかということが、よく分からない。取締役権利義務者というのは、取締役が欠けた(法令所定の員数を欠くに至った)場合に、任期の満了または辞任によって退任した取締役は、新たな取締役が就任するまで、なお取締役としての権利義務を有するという制度で、そういった取締役権利義務者について、任意の退任というものがありうるのだろうか。取締役権利義務者というのは、自分でなろうとしてなるものではなく、本来は(任期の満了・辞任によって)取締役でなくなった者を、法的に取締役としての権利義務を有しつづけるものとしてしまう制度であって、そうやって取締役権利義務者とされた者が任意にそこから抜けられるのか、ということだ。Y社は取締役会設置会社で、取締役は3人以上いればよい(会社法331条5項)ことから、Dが退任しても取締役権利義務者はA・B・Cの3人だから大丈夫、なんてことになるのだろうか。

また、裁判所の認定では、もともとはBがY社の代表取締役であったのが、平成30年に開催されたY社の取締役会でBが解職され(判決文では解任といわれる。BはY社の設立以来、その時まで、代表取締役だったとされている)、Aが代表取締役に選定された(判決文では選任といわれる)ということになっている。

平成24年以降はY社では役員の選任がされていなかったことからすると(また、平成24年以降30年までの間にY社の取締役会でBが代表取締役に選定されたという認定はされていない)、Bは代表取締役権利義務者だったことになりそうだ。しかし、そのような代表取締役権利義務者の「解職」というものがありうるのかということが、上に述べたのと同様の理由から、よく分からない。取締役権利義務者の解任について、最判平成20・2・26民集62巻2号638頁は、取締役権利義務者が解任の訴え(会社法854条1項)の対象にはならないとしている。

もっとも、次の(a)に述べるように、Aが新たに正規の代表取締役として選定されたと捉えられるのであれば、Aが代表取締役に就任することでBは代表取締役権利義務者でなくなるので(会社法351条1項)、いずれにしてもBは代表取締役としての権利義務を有しないことになりそうだ。

正規の取締役がおらず取締役権利義務者しかいないという状況で、Aを代表取締役を選定することができるかも、考えてみるとよく分からない。(a)Aは正規の取締役ではなくて取締役権利義務者だが、そういった取締役権利義務者としての地位も、代表取締役の地位の前提としての取締役の地位だと考えるのであれば、Aはそれによって正規の代表取締役に選定されたことになるのだろう。

これに対して、(b)代表取締役の地位の前提としての「取締役」には取締役権利義務者は含まれないと考えるのであれば、Aを代表取締役に選定することはできないことになる。このように考える場合、Aを代表取締役に選定した取締役会決議は無効で、依然としてY社には代表取締役が欠けていることになるから、Bの解職が無効なのだとすれば、Bが代表取締役権利義務者だということになる。

assam_uva at 13:04|Permalink││研究